舞ひあそぶ

神楽のこととか、備忘録の掃き溜め。

しんのうもろもろ に

まず、しんのうの演目のおさらい
演目は「大社」「真切女」「恵比須」「八幡」「日本武」「磐戸」「三韓」「住吉」「荒神」「厳島」「武甕槌」「八重垣」の12こ。


みみくさんは、七座や能舞で差異がある。
特徴的なのは「五行」「山の神」「三つ熊」など。

「五行」はまんま「五神」
「三つ熊」はタケミカヅチとフツヌシが○○鬼という名前の見た目は賊?を退治する話、だったかな。面の耳の部分に八雲の雲とか装飾ついて、おでこに「武」と「經(経)」がそれぞれついてる。
「山の神」は大王さんが頭のなかに浮かんできて思い出せんけど、石見とかと共通性のある演目だった気がする。…と思ったけど、「香具山」の方でしたね。岩戸のはかりごと巡らして、榊を取りに行くやつ。


興味深かったのは、五郎の四神が、大陸の武神みたいな面だったこと。あれ…奈良とかで十二神将像とかでありそうな感じ。「三つ熊」の面同様おでこに木火金水のマークが入っていて非常に分かりやすい。名札的な。
たいして五郎さんは全然違う顔。髪が富士額な感じに書いてあって、中性的ながら目と眉が吊り上がって歯を剥いていて厳めしく、口角の辺りから顎が割れている。

賊面とも神面ともまったく違う。
多分、埴安大王のためだけの面、なんじゃあないでしょうか。

でも実は「中性的」というのはキーワードなのね。
これ話始めると長いんよね。またそのうち。それとも前に書いたっけな?

あ、あと所務分けのじいも出てくる。というか、思兼神。
ほぼ石見の「五神」のストーリーラインね。
そういえば邑智郡の神楽で「五神」って見たことないなあ。


そのほか、ほほうとおもったこととかをつらつら挙げていきますが、

まず、「切目」は出雲地域にほぼ伝わっている演目らしいですが、詳細わからんけど、切目王子は明治中頃以降かな?「女」らしい。
姫面で出てきて一通り舞って、翁面着けた神が出てきてかつ鼓を姫から渡されて打つ、という構成かな?
能っぽい感じ、というのでだいたいイメージはつくけど、しかしよくわからん。
なんで姫面?
神功皇后と同じ面なので、姫面とはいっても、目力ある系の美人さん。烈女?

そもそもは男神として伝わっていたっぽいものを、なんでわざわざ女神にしたのか、がわからんのでわからんのですが、邑智郡の「切目」で本人は男神だけど問答に女が出るのはそこいらとの関連もあるのかなあとか思ったりして。

あ、隠岐の「切部」もやっぱり切目王子の舞らしいですね。
ああー隠岐もちゃんとみたいなー


あと、「田村」では、田村さんちの麻呂が鈴鹿山の鬼退治する話っぽい。チャリの里人が出る。人気演目。

頼政」の里人みたいな、嘯の面がちらほら。あと猿面も見た。


いまは廃れたけど?少なくとも明治期頃まで、「天神」「八幡(弓八幡)」「黒塚/安達ヶ原」に相当する、演目はあったみたい。狐面とかも。

面はいろいろ使い回しながら。


とか見ていると、出雲は出雲、石見は石見、で違いがあるのは当然なんですが、もっと大きく、中国地方は荒神神楽的な枠でみることができます。
備中とか石見とかとも共通項を見いだせるんですよね。ご本人らあは嫌かもですけど。

ほいで、これ系の演目って、廃れることはあっても、わざわざ新しく作るとも考えられんので、ずうっと前から、神職の神楽執行時には定着していたということ。

つまり、さださんが、"能舞を創ってそれが伝播"したのではなくて、むしろ、土俗的なというか、そういうものは捨ててしまって、いろんなお宮の神威を高めるための創作・演目整理をしたという可能性のほうが大いにあるわけです。
源流が指すのは、"創作"というより、執行の流れの"整理"というイメージかもですね。

神職演舞禁止令とかの理由で、休眠もされたことがあるので、そこでもしかしたらまた演目が減ったというのもあるかもですね。12こでも、やってるの?って言う名前もあるし


だから"源流"という言葉はいろいろ難しいなあとおもいます。


みんなちょっとずつ、その土地にあわせてカスタムされてるだけで、本質で大きく違うことってあんまりないんだから、あっちが偉いこっちが偉いという不毛な戦いは嫌です。